上手くないなりに
私の家族は、ちょっと変だ。
気持ちの表現が下手だ。私も含めて。
思っていることを伝える行為をあまりしない。
もどかしい。何だこのぎこちない感じ。と思う。
言いたいことはきっとあるのに、言わない。
言ったら、理解が深まるかもしれないのに、楽なのに。今までやってこなかったから、今更違うことをするのは難しい。
何かを言いたそうな雰囲気だけを感じとって終わってしまう。
表現が下手だから、お金など目に見えるモノで表現することが多い。
あの人達にとっての気持ちは「モノ」に込められている。
フフッと笑ってしまう。可愛いなあと、
モノは充分すぎるくらい貰った。本当に欲しいのは言葉なのに。と寂しさを感じる時もある。
でも最近少しずつ分かってきた。あの人達から貰うモノは言葉であり、気持ちなんだと。
きっと伝えたいことは沢山あるんだろう。それをなかなか言い出せないんだろう。
もどかしいけれど、もどかしさも含めて面白くて、可愛い。
そんな風に思っている。
そんな家庭で育ったので、私も気持ちの表現は上手くない。
上手くないから、すれ違い、疎遠になり、もどかしさを感じることが沢山あった。
言ったら相手に何を思われるのか、怖かった。自分を守るのに必死だった。
でも、いざ勇気を振り絞って言ってみると、案外みんな優しく聞いてくれる。思いがけない方向に進んだり、仲が深まったりする。
だから私は、上手くないなりに伝えるようにしている。
伝えようとするだけでもいいじゃない、と。
上手く伝えなくてもいい。完璧じゃなくても良い。
そうやって伝えていきたいな。家族にも。